試合データ

https://www.football-lab.jp/kuma/report?year=2026&month=04&date=19

ハイライト

https://www.youtube.com/watch?v=_C6pWc75Bxk

事前情報

スタメン

三島と飯星を下げて根岸と那須。DAZNの343(3421)予想も含めて、非保持の整理をこの試合の課題としつつ、根岸を入れることで上村にもっと動いてクイックネスやターンなどの良さ出してもらいたい、飯星よりフィジカルの部分がありそうな那須を入れて収めどころとして頑張って欲しい、あとは343で構えて"人を掴みにいく守備"を"構えて跳ね返す守備"に変更したい、などの狙いはありそう。

ここまでの取り組み

改めて整理してみます。

私が開幕から見てみて感じた、熊本が持っている強みの部分は、ボール保持を恐れないマインドとダイナミックに動き続ける、アグレッシブで勇敢なサッカー。具体的には、選手の技術やクイックネスを生かしながら、チャレンジングな短い縦or斜めパス、中くらい距離のパスをどんどん刺しこんで、流れるようにボールホルダーを追い越して押し下げたりする攻撃の部分と、守備では人を捕まえに出て行って自由を与えないプレッシングが強みだったのかなと感じてます。

このシーズンでもその部分は発揮できた感覚は持っていて、例えば第4節ホーム大分戦はその特徴を発揮して、しかも3点取って勝つことができた。選手全員がアグレッシブに、ボールを持つことを恐れないし、少しチャレンジングなパスでも刺して行ってどんどん前へ前へボールを薦めることができるのがこのチームの良さで、大木さんのもとで積み上げてきたもの、"大木サッカー"がまだまだ彼らの中で生きているのを感じます。

一方で、ここまでの10試合で出てきた課題は、人を掴みにいく守備からひっくり返されて失点すること、セットプレーで失点しやすいこと。8節鹿児島戦、10節宮崎戦では前線からボランチがボランチを掴みに行ったところから1-1になったCB-CFのところに長いボールを蹴り込まれ前半のうちに失点。5節から7節は無得点+後半にセットプレーから1失点で0-1。セットプレーについては、フィールドの選手で180cm以上が李泰河一人しかいないスモールスカッド故に、どうしても空中戦は弱みになりやすいです。好調だった4節までと対比して、負けパターンに一定の傾向が見えたのと、反面、無失点で終えるために必要なものも見えてきたのが第10節までの戦いだった、と思います。

どんなチームになれば勝てるのか考えてみる

取り組みを見た上で、どこの部分を伸ばして、どんなチームになっていくべきか。私はボールを持つ時間を長くすること、あとは非保持で人を掴みにいく守備とブロックで構える守備を使い分けられるようにすること、が重要だと感じました。片野坂監督が第一次政権の大分トリニータで築き上げたチームが、まさに目指すべきモデルとなると思います。ここ最近のJリーグを見ても、ロングスロー含めたセットプレーはこの時点で戦術としてコモディティ化し、敵陣での攻撃はより空中戦の比重が増えたため、小さめのスカッドで勝ち点を積むには、できるだけ長く試合を握って相手の時間を削りながら、守備ではできるだけ人をかけて分厚く守ることが、勝ち点を積み上げるため、特にこのチームに必要なアクションでしょう。

では、今のチームにどのようなパッチを当てれば理想像に近づけるのか。

ボール保持の局面

目標として、もっと自分たちの時間を増やす、特に縦パスよりは横パスを増やしたい。ここまでサイドからロングボールでひっくり返す攻撃の形、アグレッシブに縦に刺していって前進する大木サッカー由来の形はかなり表現できてます。一方で、じっくり繋げる場面でも縦に刺して前進する選択を取ることも多かった。

今後、J3リーグで勝ち点を積むためには、相手の時間を削ることもより重要になるため、縦方向ではなく横方向のパスも増やしてじっくりボールを持って、ゴール前に迫れる確率の高いを見極めながら縦に刺していくプレーをする必要があります。これには相手のプレッシングを剥がして相手を自陣のブロックに押し込めるための工夫も必要で、ダブルボランチに変更しているのは中央の刺しどころを増やす目的もあるだろうなと思います。

ボールを持たない局面

ボールを握っていない時間は、失点を減らすために今の人を掴みにいく守備を脱却し、場所を埋めて構える必要があります。大木さんの時代が長かったこともあって、人を掴みにいく癖がなかなか抜けないのかもしれません。ここまでのゲームでは、おそらく片野坂さんができるだけ大木サッカーで積み上げた守備でのアグレッシブさが出せるように、構えるよりは人を出していく方に整備して取り組んできたんだと推測しますが、いよいよ失点が嵩んだうえに、前節は5失点もしてしまったので、構えて守ることにももっと取り組みましょう、となってるかなと思います。むしろこっちの方が現代サッカー的には自然な守り方なので「サッカー選手ならすぐにでもできるんじゃないの」とか思ってしまった自分もいたんですが、W杯期間中に監督を変えたチュニジア代表チームが数日ではあまり変わらなかったように、どんなチームでも1週間などの短いスパンで変わることは難しいんだと思います。

非保持の局面では前線からのプレッシングはマンツーマンにすることもプレミアなど見てるとやってるチームも多いので、その点で大木政権時代の守備が悪いとは思わないし、むしろこの試合の時点の熊本なら人を決めて追い回す方が相手が困るような気もするんですが、そもそも90分マンツーで走り続けることが可能かどうか。走力など選手のアスリート能力の部分も戦術の選択には影響するでしょう。

現時点でCB-CFの1-1を突かれての失点が増えているので、"構える守備"をJ3リーグまでにちゃんと構築できるのか、というのが一つJ3リーグで勝ち点を積む上で重要なポイントになるかもしれません。

この試合の非保持での取り組み

ボールを持たない局面での課題は私が気付いたところを前述しましたが、熊本もチームとしての課題を分析して、その解消を図るための取り組みを行っていたと思います。

熊本は序盤に数回プレッシングを外されてから、プレッシングの掛け方を少し整理してゴールに迫る場面を作れました。最初の10分くらいまでに数回、熊本が藤井、べジョンミンからスイッチをかけて出ていくんですが、深さをとられている最終ラインの5枚のスライドが間に合わないので、シャドー藤井+那須の後ろ、3CBの両サイド岩下と小林の前のスペースを使われて前進されました。やられた部分はあったんですが、やられたあとは、自分たちはどのタイミングで出るのか、この試合の541のブロックでどう奪いにいくのかを整理できたと思います。

やり方としては、鳥栖がピッチの真ん中あたりまでボールを運んだところから、べジョンミンが鳥栖のアンカーポジションの選手を抑えて、2シャドーはまず中央を切ってサイド経由にさせる。頂点の3トップから最終ラインまで縦の距離がコンパクトになったところで、ボールが最終ラインに入ったら最終ラインから人が出て奪いにいく。もしくは、相手最終ラインで繋いでいるうちに、シャドーのところでスイッチが入れられそうなら出ていく、と言う形。

特に前半18分の岩下が奪って出て行ってからのシュートは、チームとして取り組んだ守備の狙いを表現した良き攻撃だったと思います。この試合の岩下はとても良かった。持ち味の球際の強さを中盤ブロックの場面で存分に発揮しました。

この形で守る時間を増やせれば、これまでのようにCB-CFが1-1になったところに蹴られる現象はこれまでよりは減らせます。非保持からでも、この試合でできた良い守備とそこからの良い攻撃があれば、鳥栖のような相手でも試合をコントロールできるでしょう。この形は昨シーズン片野坂監督が大分で取り組んだ"良い守備"の形です。ミドルブロックをベースとした堅いチームづくり。

ボールはもっと握りたい

根岸と那須を使ったことからもこの試合はかなり非保持のところの取り組みの表現に重きをおいた気もします。カテゴリ上の鳥栖が相手なのと、前節5失点の次の試合なので慎重に入った感じにも見えます。ただ、熊本のいいところはボール保持からのダイナミックな攻撃なので、鳥栖相手でもその部分は果敢にチャレンジしたかった。

特にこの試合は鳥栖に握られる時間も長かった。であればなおのこと攻撃の時間は増やしたかった。わりあいこれまで取り組んできたサイドからのロングボールが中心の攻撃で、ビルドアップで出口を見つけて短いパスで前進していく場面は少なかった。特にゴール期待値の方がデータで見る限り0.5を下回っているのは結構辛い事実です。

昨シーズン片野坂監督の大分も、良い守備からいい攻撃を目指したところ、守備の狙いの表現に手一杯になり、リーグ最下位の得点力不足に悩まされ続けました。私としては、守備の練習を90分しているようなあの時期を、熊本で再現して欲しくないので、次節は保持の部分の改善も見られると良いかなと思ってます。

個人的MVP

岩下でしょう。とても良かった。

まとめ

良くも悪くもカタノサッカー化したこの試合では、非保持の部分では一定の修正が見えたものの、保持の部分はロングボール中心になりがちでなかなか決定機を作れませんでした。次節、期待!

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